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vol.1「あついあついと言いながら意外と忘れてるあたりまえの夏の過ごし方」

 もう例年のこととなった猛暑が始まった。気候的にみれば誰もが梅雨明けを疑わない晴天が続いている。気象庁の梅雨明け宣言はまだ出されないようだが、まもなくやってくる台風で天気が崩れることがわかっているからで、いわば台風待ちのようなものだ。
台風が過ぎれば、また暑い毎日。熱中症のシーズンはまだ始まったばかりということだ。

 ほんと、暑いのは苦手。熱帯夜はそれ自体が悪夢だ。

 気温が35度を超えた日を猛暑日と呼び、自治体は放送で注意喚起を呼びかける。テレビニュースなどでも「観測史上最高の猛暑だった」などと、異常な高温状態ばかりがワルモノ扱いだ。

 しかし、こと運動に関して言えば、実は気温21度でも熱中症になる可能性が生じると日本体育協会は指針を示している。気温25度を超えると一気に危険性が増し、31度を超えたらもう運動は原則中止なのだ。

 かつて根性で運動をしていた時代は、「水を飲むな」というのが常識という笑えない事実があった。熱中症予防のみならず、日常生活においても今や適度な水分補給が医学の常識。

 子供はよく水を飲むが、年齢が上がるにつれて大人は水を飲まなくなる。アルコールは水分補給にならないということも常識なのに喉が渇くとビールや酎ハイだ。

 毎年、熱中症で命を落とす人の多くは高齢者。熱帯夜の寝室で死の危機に瀕している。よく登山中の天候急変で疲労凍死したり、極限状態で急激に体力を消耗して遭難するのも中高年や高齢者だ。無理が効かないうえに限界を感知する能力も鈍くなるからだ。

 それら体力的弱者は、積極的にクーラーや扇風機を活用すべきだろう。我慢は禁物だ。しかし、十分な若さと体力を持ち合わせているなら、現代人が意外に忘れてる「環境に順化する」、あるいは自らを「防御する」知恵をフル活用して我慢してみるのはどうだろう。

 こまめな水分補給を心がけることは基本中の基本。でもペットボトルはすぐ中身がぬるくなるし、表面が結露でビショビショ。保温水筒なら夏でも冬でも中身の温度が保たれてグッド。

 流れる汗を拭うことも汗の蒸散を助け体温の上昇を防ぐだろう。ちっちゃなハンカチでは夏の汗には不十分だからタオルは夏の必需品。

 信号待ちの間、日陰に入る。帽子や日傘を積極的に使う。とにかく日陰を拾うように歩いてみる。休憩するなら、熱気の溜まった場所を避け、公園の木陰とか水辺とか涼しい場所を見分ける目を持とう。ポチもタマも冷たい床に腹をくっつけてるではないか。

 家庭では打ち水やグリーンカーテン。窓を開けて風を通す。理想は自然の風。だめなら扇風機。家の中でも涼しい場所を見つける。水浴びする。冷やしたスイカ食べる。麦茶飲む。

 いっそヒートアイランドの都会から高原の避暑地や海風の吹く海辺に逃げ出せたら申し分無いのだが、昔も今も限られた人にしか許されない贅沢かもしれない。やはり異常な暑さで耐えられなくなったら最後は冷房に頼るしかない。

 だとしても、文明の利器に頼り切り、エネルギーを消費して地球温暖化に拍車をかけるような、涼の取り方は避けたいものだ。

樋口琢生
About 樋口琢生 (29 Articles)
東京生まれ。1989年より早稲田編集企画室ルポ班に在籍。週刊誌記者、ガイドブック編集、単行本制作などに携わる。登山、キャンプ、カヌー、自転車などアウトドア全般が趣味。