移民都市・深圳をゆく その15「中国のマクドナルド第1号店は深圳にあった」
深圳は香港のすぐ隣にあるということもあり、国外の飲食チェーンが、北京や上海といった大都市を差し置いて、深圳に先に進出してくることもある(香港はまた別格の存在なので、中国本土において、ということで話を進めていく)。
代表的なのが、世界一のハンバーガーチェーン、マクドナルド(中国語名・麦当劳=マイダンラオ)。北京か上海に1号店がありそうなものだが、意外にも1990年10月に深圳一の繁華街である東門に中国1号店をオープンしている。かつては世界最大級の店舗だった北京の王府井店のオープンが1992年だったので、首都より2年も早く進出してきたことになる。ちなみに同じ1990年には、ソ連(当時)の1号店がモスクワにオープンしている。
日本の飲食チェーンでは、居酒屋チェーンの「和民」が2005年1月に中国1号店を深圳にオープン。和民というと、日本では安い居酒屋というイメージがあるが、深圳の店ではオシャレ感を出し、デートでも行けるような雰囲気になっている。今はどうだか分からないが、かつては週末ともなると順番待ちの列ができていたほどである。
比較的最近では、回転寿司チェーンの「元気寿司」が、2010年6月に中国1号店を深圳にオープンしている。その後、深圳市内では16店舗にまで増え、中国各地の大都市にも進出している。
国外の飲食チェーンが深圳に進出してくるパターンとして多いのは、まず香港に進出して、そこで成功を収めてチェーン店が増えると、今度は中国本土進出の足がかりとして、すぐ隣にあって管理がやり易い深圳に店を構えるというもの。この場合、中国本土における飲食チェーン運営のノウハウを持つ香港の飲食関連企業と提携して進出してくるのが普通である。
中国一の大都市である上海や首都の北京に比べると、中国各地から田舎者が集まる移民都市の深圳は、経済的には発展しているものの、街としてはどこか垢抜けず、泥臭いところもあるのだが、こと食べ物に関しては、中国でもけっこう先端を行っているのである。