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vol.8「全焼寸前!? 舛添都知事のあやうい危機管理能力」

 舛添要一東京都知事が火だるまである。もとはといえば公用車に湯河原の別荘まで送迎をさせていたからだ。本来起点は世田谷区内の自宅であるべきなのにやり過ぎではないかと。

 女子アナがテレビ局差し回しのタクシーで彼氏のマンションまで行ったなんていう例はよく見かけるが、毎週のように税金でまかなわれる公用車に、県外の別荘まで送迎させるんじゃチトまずかろう。

 じつは「舛添さんは何度も離婚しているからお金がない」と痛烈に皮肉った石原慎太郎元都知事も、かつて参議院議員だった1981年、弟・裕次郎が「西部警察」ロケ中に解離性大動脈瘤で倒れた際、自衛隊の飛行艇を視察先の小笠原諸島に呼びつけて帰京したという過去を持つ強者なのだ。当然、公私混同だと大問題になったが、スケールが違った。

 ところが舛添さんは、家族サービスと疑われるホテル代や飲食の領収書を政治活動費の会計に混ぜてしまったりするから、ほじくり返されセコいと言われる。こんな例は一般庶民にも身に覚えがある程度のこと。裏を返せば庶民感覚あふれる都知事と言えるかもしれないが、金の出所が税金だからバレればやはりアウトなのである。

 25日、「政治資金に精通した専門家に調査を依頼した」と発表したが、面識の無い2名とする弁護士も調査終了まで名前は発表できないというし、第三者といいながら選任も調査費用負担も舛添さん自身が出すというなら身内に頼んでいるようなもの。「専門家に相談したいからちょっと待ってね」と言っているようにしか聞こえない。

 初期消火に失敗してすでにボヤではなくなっているのに、まだセコいこと考えているようでは、もはや全焼はまぬがれない。自身の政治生命に対する危機管理でさえこのていたらく。この人が都知事で東京が未曾有の大災害にみまわれたら、1300万都民の生命を守れるのだろうかとはなはだ不安だ。

About 樋口琢生 (29 Articles)
東京生まれ。1989年より早稲田編集企画室ルポ班に在籍。週刊誌記者、ガイドブック編集、単行本制作などに携わる。登山、キャンプ、カヌー、自転車などアウトドア全般が趣味。