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vol.9「東京夏の陣・混迷都知事選2016」

 舛添要一前都知事の辞職を受けて7月31日に行われる東京都知事選挙。誰が第20代という節目の知事になるか気になるところだが、おおかたの予想通り候補者乱立の様相を呈し始めた。

 独断で早々に名乗りを上げた小池百合子元防衛相(63)は自民党の推薦に関係なく無所属でも立候補すると出馬表明会見。掲げた公約の1番目が実現困難な「議会の冒頭解散」であったため、自民党都議連との対決姿勢が明白で分裂選挙は避けられない。11日、小池元防衛相は都議連へ提出していた推薦願いを取り下げ進退伺い。自ら離党する意志はないという。その都議連に担がれ前岩手県知事の増田寛也元総務相(64)も参院選の決着を待ってようやく出馬表明だ。しかしこの人が総務相時代に打ち出した、地方交付税の特別枠制度が大都市に不利な政策で東京都の税収を減少させた経緯などから、都知事としての適性を疑問視する声も聞かれる。

 一方、かつて「政界の牛若丸」と呼ばれた山口敏夫元労相(75)も政治家OBとして「与党の候補者選びは党利党略ばかりで都民を愚弄している」と義憤を理由に無所属で出馬を表明。山口元労相といえば、1967年から10期連続で衆議院議員を務めたが、1995年に東京二信組問題に関与した疑いで逮捕、起訴され、3年6カ月の実刑判決を受けた人物。以後政界から姿を消したが、昨年末から五輪組織委員会の森喜朗会長らを痛烈に批判してきた。今回の出馬表明でも五輪予算の見直しを訴えるが、高齢でもあり都民の期待する声はどれほどだろうか。

 俳優の石田純一(62)も有権者に対する知名度では有力といえる。「野党統一候補なら」という条件付きの、出馬表明ならぬ決意表明?だったが……。昨年、安保関連法案に対する抗議活動に参加していた姿が報じられ政治活動への予感はあったものの、理子夫人との結婚で「政治家にはならない」と約束していたというから、よほどの覚悟の上なのだろう。その真意は自分ではなくても野党共闘の候補者なら良いというから、都政が自公与党に支配されることへの危機感からのようだ。理子との間に生まれた二人の子どもの将来を憂えてか、夫人の説得には成功したようだが早くも本業でスポンサー契約の違約金を請求され火だるまなのだとか。大丈夫なのか?

 そのほかにも、野党が推すと見られていた宇都宮健児元日弁連会長(69)も、野党の対応を待たず無所属で出馬する意思を固めたと言われる。2012年、2014年にも出馬し、ともに次点だっただけに乱戦は避けられないだろう。

 その他泡沫候補も含めると10名を軽く超え、前回2014年(16名)並みの多数候補者が参戦することになりそうだ。こんな選挙を5年の間に3回もやることになって、それこそ税金のムダ遣いと都民は怒って当然と思うのだが……。

 石原慎太郎元知事は国政に復帰するため4選目を1年半で辞め、その石原から後継指名を受け、当選した猪瀬直樹元知事は就任からわずか1年で辞職。それが猪瀬自身の都知事選での不正な資金処理が辞職の原因だったのに、そのあとを受けた舛添要一前知事は、さらにお粗末な公私混同による公費の濫用を追求された末の辞職で2年ちょっとしか続かなかった。

 どうせ誰が知事になっても変わらないだろうと匙を投げたくなるところだが、今度こそ失敗しない知事選びをするならば、立候補者が多いだけに有権者である都民の選択は判断が難しいことだろう。

樋口琢生
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東京生まれ。1989年より早稲田編集企画室ルポ班に在籍。週刊誌記者、ガイドブック編集、単行本制作などに携わる。登山、キャンプ、カヌー、自転車などアウトドア全般が趣味。