TPPなんて関係ない 爆買いから見える暴力団への依存
国慶節(10月1日)の連休中も、繁華街の家電量販店やドラッグストアで中国人風の客をよく見かけた。中国人の爆買いが下火になったという報道もあるが、見た感じまだまださかんな気がするのは私だけ?
爆買いは各所で起きている。「錦鯉の養殖で有名な新潟の小千谷では中国人が錦鯉を池ごと買い占める。自宅に日本庭園を造るため、富裕層は1匹1千万円の金色の錦鯉をキャッシュで購入」、「健康ブームで南部鉄瓶の価格が高騰。地方の骨董市では台湾人が鉄瓶を買って中国へ輸出する」といった話を中国事情通から聞いた。
その事情通によると、地下市場での爆買いは暴力団の資金源のひとつ。暴力団が目をつけるのは合法非合法問わず、「一般人が扱いにくい」、「入手困難」、「利ざやの高い」商品だ。たとえば、ワシントン条約で商業目的での国際取引が禁止されている象牙。赤サンゴ、羅漢松なども人気商品らしい。
暴力団は過去の経験で日本・中国間の密輸ルートを持っている。船便が基本で、税関のチェックが厳しい北京、大連などの大きな港は避け、いったん、香港やベトナム、ミャンマーを挟み、陸路で本土へ運ぶのが一般的。税関職員には賄賂を渡す。TPPが話題だが、その筋の世界では関税なんて関係ないんだろうか。
最近、朝日新聞も報じていたが、九州・有明海で大繁殖中のビゼンクラゲの売買にも暴力団の関与が疑われている。
ビゼンクラゲはその色合いから地元・有明海ではアカクラゲと呼ぶ。以前は二束三文だったが、近年、大増殖しそれに目をつけた中国人が中華料理の食材用にと買い付けブームが起こって漁師の貴重な収入源になった。おりしもノリ養殖の不漁が続き苦境に立たされていた漁師にとってアカクラゲは救世主だ。
朝日新聞は、ある男性はアカクラゲ漁で1日20万円の収入になったと書いていたが、もっと儲かっている例もある。地元民は「ある漁師の1日の売り上げは100万円単位。5千万円を一括払いして一軒家を建てた。“クラゲ御殿”ばいね」と言う。この例とは違うが、正規ルートよりも高く買い取ってくれる暴力団になびいてしまう例があるんだとか。
海面をさまようアカクラゲはタモ網ですくうだけで簡単に捕えられるという。まさか船上の漁師にとって万札に見えるわけではあるまい。余談だが有明海は絶滅寸前の海産物がいくつかあって漁師は大変だ。アカクラゲの数も減っていて、その漁が一過性になるかもしれないことは漁師がいちばんわかっている。
暴力団の力が爆買い市場にも及んでいるとしたら怖ろしいばかりだ。