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vol.2「まぼろし博覧会『真夏の文化祭』に続々やって来る、怪しい人びと」

 暑いあつ〜い東京を脱出して、池袋テレビ現地報道先端取材班として伊豆高原・怪しい秘密基地「まぼろし博覧会」に3日間だけの臨時支局を開設してきた。8月中開催されてる特別展「真夏の文化祭」に池袋テレビも、“池袋テレビをもっと知ってもらおう”と紹介パネル展示で参加しているからだ。それに合わせて現地で来場したお客さんやイベントのゲストなどに取材し、ふだん以上に怪しい盛り上がりをみせる現場レポートを作ってしまおうという目論みである。

マネキンやら蝋人形やら、場内は人形だらけ。たまに他の来場者に出会うとかえってドッキリする。

マネキンやら蝋人形やら、場内は人形だらけ。たまに他の来場者に出会うとかえってドッキリする。


 お盆休みウイークとあって毎日開館から閉館まで、若いカップル、昔は若かったカップル、子連れの家族、親子3世代のファミリー、男ばかりの学生グループ、仲良しギャルグループ、気ままな一人旅など様々なお客さんがやって来る。

「通りがかりに見つけておもしろそうだったから」、「以前一人で来て面白かったから家族を連れて来た」、「友達からすすめられて」、「ホテルでパンフレットを見ておもしろそうだったから」など来場するキッカケはさまざま。

今夏、猛暑の中で開催中の「真夏の文化祭」展示コーナー。特に決まったテーマがあるわけではないが、手作り感満点の展示物は懐かしい中・高校生時代の文化祭のよう。

今夏、猛暑の中で開催中の「真夏の文化祭」展示コーナー。特に決まったテーマがあるわけではないが、手作り感満点の展示物は懐かしい中・高校生時代の文化祭のよう。


「池袋テレビ」のPR展示コーナー。展示内容が地味すぎたと後悔するくらい他の展示はアナーキーだ

「池袋テレビ」のPR展示コーナー。展示内容が地味すぎたと後悔するくらい他の展示はアナーキーだ


 展示物が怪しいのは説明するまでもないのだが、来場者の方も「セーラー服おじさん」ことGrowHairさんが突然やって来たり、突撃体験レポート漫画家の小沢カオルさんが取材に訪れたり。お笑い芸人のエスパー伊東さんが「真夏の文化祭」を応援するため、炎天下で2度もライブショーを敢行したりと予測不可能で想定外の連続。どこまでも怪し気。
熱中症と闘いながら体を張ったパフォーマンスで来場者を湧かせたエスパー伊東。

熱中症と闘いながら体を張ったパフォーマンスで来場者を湧かせたエスパー伊東。

エスパー伊東の指名を受けて“お手伝い役”を勤めたのは漫画家の小沢カオル氏だった。

エスパー伊東の指名を受けて“お手伝い役”を勤めたのは漫画家の小沢カオル氏だった。


 その他にもまぼろし博覧会の展示に作品を提供しているオブジェ作家のマンタムさんや、館内常設展示「村崎百郎館」ゆかりの漫画家・森園みるくさん、福生の「世直しおやじ」ことトム・ソーヤ工房の「王様」がテントを設営して出店で「おやじアイテム」を販売するなど、オーナーの顔の広さに驚くばかりの濃〜い来訪者が次々にやって来て「真夏の文化祭」を盛り上げていた。
村崎百郎の妻として遺品の展示を見に訪れた漫画家・森園みるく氏。

村崎百郎の妻として遺品の展示を見に訪れた漫画家・森園みるく氏。

各地の催し物に地道に出店。じわじわと人気をあげつつある「世直しおやじ」。その実態を知る人は限りなくゼロに近い。

各地の催し物に地道に出店。じわじわと人気をあげつつある「世直しおやじ」。その実態を知る人は限りなくゼロに近い。

 もうほとんど収拾のつかないお祭り騒ぎの中で、「お前たちこんなところで何をしている?」と問いかけたくなる「東大理Ⅲ」コーナー。“天才たちの合格体験記を30年”というものの「30冊揃ってないやないか〜い」とツッコミを入れつつ、30年編集を担当してきた早稲田企画としては、感激のあまり視界がぼやけてしまったのは、青春時代につきものの“心の汗”ならぬ暑さで汗が目に入ったから。これまで30年取材を受けてくれた理Ⅲ東大生たちは知る由もないだろうが……。

こんな真面目なシリーズ本があっても、さほど違和感がないのはなぜ?

こんな真面目なシリーズ本があっても、さほど違和感がないのはなぜ?


 並の価値観では受け入れられない懐の広さがこの「まぼろし博覧会」の最大の魅力。振れ幅の大きさは宇宙規模だと思うのだけれど、展示物がホコリにまみれ壊れていくのもなすがまま。無秩序に見える展示物も、一つひとつにかける思い入れは決して“テキトー”なものではないようだ。理屈で理解しようとするのも間違い。説明のつかないもの、人間の意思ではどうにもならないことを……、などと結論づけるのもアホらしくなる。自分で足を運んで、自分の目で見て感じてこそ語る資格を得る。そんな怪しい博物館だった。

樋口琢生
About 樋口琢生 (29 Articles)
東京生まれ。1989年より早稲田編集企画室ルポ班に在籍。週刊誌記者、ガイドブック編集、単行本制作などに携わる。登山、キャンプ、カヌー、自転車などアウトドア全般が趣味。