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自転車編 最終回「自転車のせいじゃないんだよ」

通勤をはじめて間もない最も痩せてたころ。photo by Hikaru Ogawa

 自転車で通勤を──。ようやく始めてみたものの、いくつも落とし穴が隠されていた。始める前はメリットばかり見ていたようで、実際やってみるといくつもデメリットがあることに気づいた。そろそろ総括して、見直す時期がきたようだ。まず、これまでの経緯を振り返る。はじまりは昨年の健康診断の結果が悪く運動するよう指導されたこと。

 自宅の近くに自転車道があったので、とりあえずママチャリを使って走り始めた。まだ暑い8月末だったので汗の量もハンパなく、順調に体重は落ちていった。80kgもあった体重が9月の1ヵ月間で75kgまで減った。

 10〜11月、体重は72kgくらいで安定。理想は高校時代の68kgくらいだけど、まあ無理と思って70kgに設定。さらにママチャリで走りまくる。体重はかわらないまま距離だけ伸びる。

 12月、体重が71kgから減らなくなり、長距離を走るために「通勤」との合体を決意。ロードバイクの購入を検討しはじめる。

 1月、知人からほぼロードと同じシクロクロス用自転車を譲り受けたのを機に自転車通勤をはじめる。

 連載の前回、前々回で自転車通勤デビューの様子をご紹介した。ルートを川沿いに設定して、おもに走りやすい河川敷の自転車道を辿るのだが、実走距離で片道47kmもあるうえ、夜の河川敷は真っ暗闇で退屈。風が吹きっさらしで、寒いし進まないしで、2〜3回通って挫折。ルートを再検討することになった。自宅と会社を直線でつなぎ、その最短距離からなるべく離れないで交通量が少なそうな一般道に新ルートを設定。その結果、距離は約38km。10kmちかくも短くなった。混雑もしないし適度にコンビニなどが点在するバイパス沿いや市街地を走るコースとなった。メリハリもあるし距離を区切るポイントが豊富で退屈しない。

 ルート変更してからは、2〜5月の4ヵ月、だいたい週2回くらいのペースで通勤していた。自転車通勤ダイエットに成功したと思っていた。でも、体重はかわらない。なぜ?

 6月に入り、そろそろ梅雨が近くなってきたある晩、とても前途を暗くするアクシデントに見舞われた。いつものように深夜に帰途につき、ちょうど距離にして半分くらいの19.5km地点で突然パンク!? 初めてのことじゃない。手慣れた感じで10分で修理を終え、走り始めた。ところがなぜか1kmも行かないうちにまさかの連続パンク。もうスペアチューブがないので、修理をあきらめて始発電車まで自転車を押して歩く。6駅先まで13km、3時間。

 出勤途中じゃなくてほんとに良かった。不幸中の幸いと自分に言い聞かせ歩き続けた。辿り着いた駅前の駐輪場に自転車をおいて電車で帰宅。クルマで自転車を回収して寝たのは朝8時過ぎ。ほんとに疲れた。

 パンクの原因はホイールにあった。アルミの腐食によって鋭利な刃物のように薄くなった部分がチューブのバルブ付け根のゴムに当たっていた。これでは何度チューブを替えても、圧力がかかった時点で切り裂かれる。ホイールを買い替えるしかないけど、同じグレードのホイールは新品で9万円。しばらく我慢して貯金するしかない。

夏草や……。この夏はこの1回だけ。

夏草や……。この夏はこの1回だけ。

 ちょうど季節は梅雨に入り、自転車通勤はどっちみち不可能。その後もホイールは買い替えられず、リムフラップ(リムテープとも呼ばれるホイールとチューブの間に挟むように装着するチューブ保護用品。内側にスポークの頭が出ているタイプのホイールで使用する。私のホイールは本来装着しなくてもいいタイプだった)でなんとかパンクしなくなったが、根本原因が解決されていないので、怖くて通勤に使うには勇気と覚悟が必要だ。

 梅雨はあけたが夏の猛暑も自転車に乗らない口実になって、そのまま秋になった。そして、連載第1回目の冒頭になるわけだ。

 総括しよう。

 片道40kmなんていう長距離通勤は無謀である。毎日は無理だし、荷物があるのでただの40kmよりめちゃくちゃ疲れる。出勤時にアクシデントが発生したら仕事に支障が出る。運動したことで腹がへってしまい、行きはまだ我慢できても帰宅途中や帰宅後、つい食べてしまう。結果的に寝る直前に食べている。ダイエットで一番やってはいけないことだ。そのうえ週2回しか運動できていないのに、毎日多めに食べてしまう。つまり、ちっともダイエットになっていない。むしろ逆効果ではないか。

 ダイエット目的なら自宅の近くで1〜2時間毎日走る方が結果的には効果があったわけだ。ロードバイクよりもママチャリのほうが運動量も多くなる。ただし、やはり楽しいのはロードバイク。楽しみながら続けるならロードで毎日チョットずつ。

 実際のところ、この秋から自転車を復活させたつもりだったけれど、通勤はほとんどできていない。最近時間が思うようにとれず毎日どころか週1ペースもおぼつかない。そのくせ食べる習慣だけは継続中なのだ。当然、体重も次第に増えてきて、現在75kgオーバー。油断してたら80kgなんてすぐ到達だ。やはり楽しみながら効率よくダイエットするなんて無理なのかもしれない。

 やっぱり私がバカでした。1年かかってようやく間違いに気がついた。ああ情けない。

 今年の健康診断は結果が悪いのが予想できるのでおそろしくてまだ受けに行っていない。

 (自転車編おわり)

お盆に帰省した郷里の大杉にパワーをもらったはずなのに。

お盆に帰省した郷里の大杉にパワーをもらったはずなのに。

樋口琢生
About 樋口琢生 (29 Articles)
東京生まれ。1989年より早稲田編集企画室ルポ班に在籍。週刊誌記者、ガイドブック編集、単行本制作などに携わる。登山、キャンプ、カヌー、自転車などアウトドア全般が趣味。