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vol.6「京都、夫殺害事件にみる、高齢男性の結婚願望と資産喪失への不安」

 殺人容疑で逮捕された67歳の妻は、過去に4度の結婚歴と、それを上まわる内縁関係で、「14人の男関係に疑惑がある」と報じたメディアもあった。青酸化合物で殺害した疑いがもたれている。いずれも相手は高齢者が多いが、6年前に変死したYさん(当時75歳)の事件もやはりそうだ。

 育ての継母が明治の気骨な女性で、すべてのお見合いを断った。それがためにYさんはこの母が亡くなるまで独身。母の死後、結婚相談所に自分を登録した。そこに登場したのが、この女。結婚翌月に変死した。Yさんの資産は宅地、農地ほかで1億円を超えた。

 昨年殺害された筧さん(当時75歳)の場合も妻と娘に先立たれて孫もいなかった。ともに結婚願望が強かったと思われる。

 容疑者の殺人罪での立件は捜査関係者に任せるとして、仮に殺害されなくても、そう遠くない時期に、夫が先立てば、Yさんで1億円相当が、筧さんでも数千万円が彼女に相続されることになる。夫たちにとって、それを承知のどういう意味の結婚だったのか。

 Yさんは一族で屋敷や田んぼを周辺に代々所持していた。親戚が言うには、変死事件も不審なのだが、同時に屋敷や田んぼをその女が売却して、一族とは違う他人に所有権が渡ったことに、今となっては相当憤慨するのである。

「一族で代々持っていた農地ですよ。古い屋敷にしてもね。それをあの女が相続した瞬間に売却されて、先祖に申し訳ない」

と嘆くのである。

 それは結婚したその女に、自分の亡きあとの相続を託したのに裏切られたと、そういう意味なのだろうか。それだけなら、あまりに都合のいい高齢者の嫁探しに思えてしまうのだが。

 たとえ彼らに子供がいたとしても、その子が相続した屋敷や畑を守っていくかどうかも、今の時代は不明だ。売却してマンションに移り住む可能性だってある。だとしたら、親戚とは何を望んでいるのだろうかと思う。

 代々続く土地は「守っていかなければならない」という、日本人の土地神話の思いも、案外時代とともに変わっていくのではないかと、事件の裏側を思い描くのだが。

 あるいはそんなことまで百も承知の上の、嫁探しだったのだろうか。

「いくら財産があっても、墓場までは持って行けない」と、開き直った言い方をする人もいる。ならば、再婚した嫁に全額渡ったとしても、親戚(他人)が、とやかく言うべき筋合いではないとも、思えてくる。

 被害にあった高齢者に対して、殺人犯のこの女にさえ出会わなければと、誰もが思う。でもそれだけが、不幸だったのだろうか。普通なら確かな再婚相手と円満な老後が送れたのかと言えば、必ずしもそんなに簡単ではなかっただろうと、思うのだ。(sp)

週刊誌グループ
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