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役所は身内に甘いと思うお粗末な対応

 年明け早々、立て続けにニュースで報じられた役所でのメールにまつわる不祥事が気になった。

 1月10日報じられた文科省の人事部によるミス。人事部の担当者が4日夕方、省内の中堅幹部や若手職員を対象に今月中旬に発令するはずの人事異動案を部下にメールで送ろうとして、文科省全職員に送ってしまったという。別の候補や見送った案など他の過去資料も含まれていたという。

 直後に気づいて、削除依頼のメールを追送信したというが、おそらくタイトルは「人事異動案」などとなっていたと思われ、気にならないわけがない。開いて見た人も少なからずいたように思う。

 年明けからメールシステムが変わって、操作に不慣れだったことがミスの原因というのだが、だったらなおさら注意深く確認してから送信ボタンを操作するものだと思うが、こんな理由を言い訳にするなど、役所として信頼するに値しない。本気で調査して原因究明し、再発防止するならメールシステム自体見直すことも検討する必要があるはずだ。しかし、ただの送信ミスとして片付けたように見える。

 おまけに再発防止策として発表したのは、こういう秘匿性の高い重要な情報はメールにせず紙でやりとりすることになったということ。まさに時代に逆行する本末転倒な対策。紙の資料にすると言ったって、まさか手書きで作成するわけではあるまい。どうせ、文書ファイルからプリントアウトするわけで、こういうミスをする不注意な人間は、プリントした書類を外部に流出させたりするのではないかと懸念するのは私だけか。役所内の不祥事で、一般国民に迷惑かけたわけではないという役所のおごりと甘さを感じるのである。

 そういう意味で、あいかわらず甘いと感じたのは警視庁のメール配信でのミスとその謝罪の方法だ。この重大なミスは11日、警視庁の防犯情報配信サービス「メールけいしちょう」に赤羽警察署から発信された事件情報で起きた。

「11日午後6時40分頃、17歳の女子高校生が背後から首を絞められ、突き飛ばされた」という事件の発生を知らせるメールに誤って女子高校生の氏名を載せてしまったというのだ。

「メールけいしちょう」は利用者登録した人にのみメール配信されるサービスで、登録時に選択した項目に応じて配信され、一律全員に配信されるわけではないが、それでも6545件もの登録者に送信されてしまったという。

 原因は、現場に駆けつけていた警察官が、情報発信の権限がないにも関わらず情報を発信してしまったからだとか。しかも、当直の担当者も内容をチェックしていなかったという杜撰なものだった。

 権限がないのに発信したとはどういうことか。だれでもログイン出来るシステムなのか、それともパスワードなどもかけていない状態だったのか?

 この不祥事の発覚も、おそらく利用者からの通報だったにちがいない。自分たちで気づいたとは到底思えない。

 不特定多数に見られる情報ではなく、一部の登録利用者に送られただけで大きな情報流出ではないとでも思っているのか。警視庁からの謝罪もずいぶん簡単なものだったようだ。女子高生の母親に電話で経緯を説明した上で謝罪し、再発防止に努めますと言っただけ。

 システムや運用上どこに問題があったのか、誰が責任者として謝罪したのか。なにも明らかにはされていない。まあ、結局のところマスコミも事件取材などで常々、捜査情報の一部を漏らしてもらうことで、成り立っているから厳しく追求したりはしないのだ。

一般企業が顧客情報など流出した時の謝罪にくらべたら、プライバシー保護などくそくらえと開き直っているとしか思えないレベルである。

樋口琢生
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東京生まれ。1989年より早稲田編集企画室ルポ班に在籍。週刊誌記者、ガイドブック編集、単行本制作などに携わる。登山、キャンプ、カヌー、自転車などアウトドア全般が趣味。