魔都上海を巡る その3「悠久なるながれ『長江(揚子江)』」
アヘン戦争後の1845年以後、上海ではイギリス租界にはじまる欧米列強による租界の形成が約100年間つづいた。いまや中国一の大都会へと発展を遂げた「魔都」上海。ふだんは大気汚染が激しい上海だが、空気が澄んでいた日を見はからって、長江の川岸に行った。今回は、上海の北を流れる長江の岸を巡ろう。
租界の中心部に広がっている外灘(バンド)は、黄浦江に沿って高層建築が立ち並ぶ上海随一の観光エリアだ。上海市の中心部を曲がりながら流れる黄浦江はやがて市の北部で大河へと注ぐ。その大河こそが全長世界第3位の長江(揚子江)である。
中洲の大きい島を挟んで、向こう岸まではなんと40km。地形と大きさから見るに、この島は中洲というより、もともとは大陸の一部だったのが、川に侵食されて中洲の島になってしまったのではないかと思われる。だとすれば中州の岸が本来の長江の川岸ということになる。たとえそうだとしても、17kmくらいもあろうか。
長江はアマゾン川、ナイル川に次いで世界で3番めに長い川だ。河口付近の幅はハンパじゃない。手前側の中洲の島の岸さえ、肉眼ではほとんど見えない。
長江の源流は青海省の氷河にあり、そこから3千数百km下って四川省宜賓市で長江という名前に変わる。そこから、さらに2800kmほど下って上海に至る。全長約6300km。地図では宜賓から上海までの行程を赤く示した。
青海省の源流から小船に乗って流されていったら、上海に着くまでにどれくらいかかるのだろう……。そんなことを想像している今日この頃である。
次回は、日本の中華レストランでもよく飲まれている「紹興酒」について……。