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魔都上海を巡る その6「上海の朝ご飯」

 今回は上海の朝ご飯について。世界の美食国といえばフランスと中国の両巨頭がまず挙げられるが、この両国の食事に共通するのが、朝食がとても貧弱なこと。昼と夜に美味しいものを食べるから、朝は簡単に済ますのだろうか。フランスなど、庶民の朝食はパンにコーヒーのみ。週末にクロワッサンなど食べたりするらしいが、平日の朝はいわゆるフランスパン(これはこれで物凄く美味いのだが)。これは聞いた話ではなく、筆者は四半世紀以上も前の話だがフランスに短期間住んでいたこともあるので、実体験している。

 で、現在住んでいる上海はというと、まず、会社で働いている人の多くは家で朝ご飯を食べない。出勤途中の店で肉まんと豆乳などの簡単な食事を買い、歩きながら食べたり、会社に着いてから食べたり。とにかく質素というか、いいのかこんなんで……と言いたくなるような朝食。田舎あたりだともう少し違うかもしれないが、都市ではどこもこんな感じだ。

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 しかし、上海には実は美味い朝食がある。それが、生煎、油条、豆乳スープ(塩味)の組み合わせ。これで朝からお腹いっぱい。筆者が住んでいるアパートの近くにある食堂では、これで5.2元=約100円。上海の物価レベルからいっても安い。

 朝7時ごろ店に行くと、もうジジババたちが並んでいる。この店で食べていく人もいれば、家族のためにお持ち帰りする人も。ほとんどの人がちゃんと列に並ぶのだが、いい年をしたジジババが平気な顔をして横入りしてきたりするので注意が必要だ。

 横入りが大嫌いな日本人である筆者は、常にあたりを警戒し、割り込んできた人を見たら、たとえそれが自分より10歳以上年上の人でも、すぐさま「横入りするな!」と注意したりする。もう朝からバトルだ。ただ、それがヨボヨボの人だったりすると、さすがに何も言わないが。

 閑話休題。

 ここに出てくる油条は、いわゆる中華風揚げパンだ。この店では揚げたてが食べられる。豆乳スープ(塩味)は、その名のとおり、普通は甘くして飲まれる豆乳を塩味にしたもの。これがまた朝から胃袋に染みわたる。

 そして「生煎」。日本にはないものなので、いちおう簡単に説明をしておこう。

「生煎」は上海の食べ物で、朝食やおやつとして食べられている。正式名称は「生煎饅頭」で、日本では「焼き小籠包」などとも呼ばれている。1個は小振りの肉まんほどの大きさで、普通は4つ単位で売られている。だいたい3~6元(50~100円)。

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 平底の鉄板の上に並べてフタをして蒸し焼きにするので、下の部分が少し焦げ、上はほかほかといった出来上がりになる。小籠包と同様、中にはひき肉の塊とともにスープが入っている。

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 食べ方は、上のほうの皮を少しだけかじり、中のスープを啜ってから、ゆっくりと気をつけながらかぶりつく。そうしないと、かじったところから熱いスープがビューッと飛び出してきて、鼻の頭を火傷するかもしれない。

 美味いものが少ない上海の食べ物のなかで、これはMyベスト3に入るほど美味い。上海に来る機会があったら、ぜひお試しを。

 次回も続けて上海の小吃(軽食)についてご紹介していく。

佐久間賢三
About 佐久間賢三 (30 Articles)
週刊誌や月刊誌の仕事をした後、中国で日本語フリーペーパーの編集者に。上海、広州、深圳、成都を転々とし、9年5か月にもおよぶ中国生活を経て帰国。早稲田企画に出戻る。以来、貧乏ヒマなしの自転車操業的ライター生活を送っている。