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魔都上海を巡る その13「上海の外国人たちが夜な夜な集まるバーストリート──永康路」

 3月17日はセント・パトリックス・デー(聖パトリックの日)。さまざまな西洋行事がカレンダーの中に入ってきている日本でさえ、まだ認知度はそれほど高くないが、アイルランド最大のお祭りである。アイルランドだけではなく、国内にいるアイルランド系住民の数が本国アイルランドの人口よりも多いアメリカでも、大都市では盛大なパレードが行なわれている。日本でも六本木あたりに行けば、この週末は外国人たちが集まって大騒ぎしていたことだろう。で、中国でおそらく外国人の数がもっとも多い上海ではどうかというと、やはり、外国人たちが集まって盛り上がる場所がある。それが、旧フランス租界のほぼ中心に位置する細い通り、永康路(ヨンカンルー)である。

昼間の永康路。2〜3年前の写真だが、今とそれほど変わらない。通りに面した1階にカフェやバー、レストランが並び、上が住宅になっている。客の多くが外国人なので、看板も英語がほとんど。

昼間の永康路。2〜3年前の写真だが、今とそれほど変わらない。通りに面した1階にカフェやバー、レストランが並び、上が住宅になっている。客の多くが外国人なので、看板も英語がほとんど。

 かつてこの通りには路上市場が立ち、魚や肉の匂いが充満し、地面は常に水で濡れている場所だった。ところが2010年くらいから区役所の主導によりおしゃれな場所として開発されていき、今の姿に。外国人が集まる場所となっていった。

 かつて、外国人たちが集まるバーストリートといえば、旧フランス租界の西側にある衡山路(ヘンシャンルー)だったのだが、永康路が登場してからは、すっかり寂れてしまっている。

 永康路のバーストリートは全長わずか150メートルほどで、細い通りの両側に店舗が並んでいる。ここは昼間に行っても閑散としている。土日ならここでランチを摂る外国人の姿もチラホラ見かけるが、はやりメインは夜。

 週末の夜ともなると、店に客が入りきらず、おのおのグラスを片手に外に出て、通りにまではみ出して飲んでいる。払いは基本的にキャッシュ・オン・デリバリーなので、飲み逃げはできないようになっている。

バーやカフェはアイリッシュ・パブ、スパニッシュ系、フランス系などさまざまで、客の出身国別に好みの店に集まっている……というわけでもなく、酒が飲めればおそらくどこでもいいのだろう。

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筆者がときどき行っていたアイリッシュ・パブ。写真は2014年のセント・パトリックス・デー直前の週末。ギネスは1パイントが60元(1200円)。日本より高い。

筆者がときどき行っていたアイリッシュ・パブ。写真は2014年のセント・パトリックス・デー直前の週末。ギネスは1パイントが60元(1200円)。日本より高い。

 ちなみに2009年には、上海でもセント・パトリックス・デー近くの週末に、小規模なものだがパレードが行なわれた。パレードのあとは、一本の路地を遮断して、そこに出店を出したり、催し物を行なったりするイベントもあった。

 しかしそれ以降、目的を持った大勢の人たちが町中に集まるのはちょっと……という中国の“大人の事情”があり、パレードもイベントも許可されていないと聞く。

 というわけで、今ではセント・パトリックス・デー前後の週末に、永康路のバーストリートに行って騒ぐくらいしかないのである。

 ちなみにここには、なぜか寿司屋が2軒もある。どう見ても日本人経営の店ではないが、満員とまではいかないものの、そこそこ客が入っている。でもおそらく、近いうちにどちらかは潰れるだろう。

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2014年のセント・パトリックス・デー直前の週末。いつにも増して人が多い。とはいえ、上海にこんなにたくさんアイルランド系の人たちがいるとは思えない。おそらくほとんどがそれ以外の国の人たちだと思われる。

2014年のセント・パトリックス・デー直前の週末。いつにも増して人が多い。とはいえ、上海にこんなにたくさんアイルランド系の人たちがいるとは思えない。おそらくほとんどがそれ以外の国の人たちだと思われる。

 というわけで、セント・パトリックス・デー近くの週末にアイリッシュ・パブに行くのなら、アイルランドのナショナルカラーである緑のものを身につけていくといいだろう。

 さて次回は、上海郊外にある水郷の街・朱家角をご紹介する。

About 佐久間賢三 (40 Articles)
週刊誌や月刊誌の仕事をした後、中国で日本語フリーペーパーの編集者に。上海、広州、深圳、成都を転々とし、9年5か月にもおよぶ中国生活を経て帰国。早稲田企画に出戻る。以来、貧乏ヒマなしの自転車操業的ライター生活を送っている。