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vol.18「即席のエレベーターガールになりたがるOLと、歓迎する男社員の姿は、微笑ましいのか、滑稽か」

 永田町や大手町の官公庁街のオフィスビルに行くと、30人乗りの大型エレベータに、駆け寄ってすぐに乗るのはOLたちで、即席のエレベーターガールのように「何階にいきますか?」とリクエスト取ってボタンを操作する。乗降中は、ずっと「開き」のボタンを押し続けて、あれはいったい女子の男子に対するサービスなのだろうか。たまに女子が乗り込まないと、途中でドアが閉じそうになって客の肩にぶつかる。するとアハハと本人も客も含み笑いするのはどうしてか。各人が右手でドアのセンサーを押しながら乗り込むものだと思っているのは私だけか。

 自宅の団地で他人と乗り合わせたときも、年配女性が案外入口に陣取って早速ボタン操作して、着膨れた男は体を斜めにして奥に進まなければならない。「はあ~」とため息が漏れる。しかも同時に降りるときなど、入口女性は相手を待って「お先にどうぞ」と仕草をする。「入口のアナタが先に降りないと、奥は降りにくい」というと、いぶかしそうな顔をする。いいことか、滑稽か。

 5年後の五輪に向けて「おもてなしブーム」が続くが、最近はこうした特殊な日本の文化をそのまま保存して、それこそ「異文化でおもてなし」をしようとしているのだ。

 エスカレーターでも、左側は整然と並んで、右側は歩いて上がる。止まると怒られる。エスカレーターでは、ドタドタ歩いてはいけないというのに、未文化が残る。「おーいお茶」という商品も、夫が妻に「おーい」と呼びかけるその行為が商品名になった。夫が妻をおーいと呼びかけるのはよくないというのに、改善がない。

 セルフが標準だといわれるガソリンスタンドでも、給油マンがいるスタンドが大半だし、ごみは、灰皿は、窓ふきはなど聞いてくる。散髪屋でも何故か肩もみ、マッサージする習慣も残るが、微笑ましいのか、滑稽なのか。

 多分大半は、すべてが微笑ましいと思われている。負担が多い女子たちも、仕方がないと思っている。ああ、過去にはフェミニスト文化も流行ったのだが、最近の右傾向の時代に合わせて、女子たちは本当に解放されているのか、時代が戻っているのか。私はすべてが滑稽に見えるが……。(sp)

 

 

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男性週刊誌、女性週刊誌、写真週刊誌など大手出版社編集部の契約記者として、第一線で取材執筆活動をおこなっているライター集団。政治、事件、皇室、芸能、実用、人物インタビューなど守備範囲は多岐にわたる。早稲田編集企画室の中核。