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vol.19「川崎の中1殺害、上村遼太くんのSOSを無視した大人たち」

 殺害された被害者のSOSが、大人に届かなかったというのは詭弁である。事件の1週間前には、ボコボコにされた上村君の友達数人が、18歳の加害者主犯格の自宅に「おとし前」を付けさせようと出向いて、警察沙汰になった。中学校の教師は、50回も上村君に電話して「登校しなさい」と呼びかけた。彼の母親は、殺害される当日の夕食を一緒に取ったが、その後深夜に外出する息子に気がつかなかった。周囲の大人は誰もが異変を察知していたのだが、それ以上の行動を取らなかった。責任はそこにある。

 18歳の加害者にしても、逮捕当時本人は「その時間にアリバイがある」といい、トラック運転手の父親も「私も息子が自宅にいたことを確認している」と、今となっては親子で幼稚なウソをつくだけだった。双方の家庭とも崩壊していたといえる。

 当初、加害者の18歳たちは、中1の彼に、万引きやかっぱらいをやらせていた。13歳なら刑事事件に問われないことを悪用した。彼を学校に行かせないために、ボコボコに青あざを作った。やられたことを他人に話すと、報復としてさらに暴力を加えた。チンピラ集団である。

 学校は生徒を登校させればよく、警察は事件が起きてから収拾させればよく、親は家庭で静かにしていればそれでよかった。SOSの子供にとっては、生きていく場がどこにもない。ならば親身になって保護してくれる親分さんがどこかにいれば、その組織に加わっていただろう。

 被害者の子供が暴力を奮われるたびに警察に通報して、報復されるたびにまた通報して、襲撃されたら親が子供の盾になって、自分の子供が殺されるくらいなら、親が殺されるくらいの覚悟が本当は必要だが、その覚悟がある親はまず少ない。

 いじめも、子供チンピラも社会の縮図である。世間の大人組織がそうしているから、子供が真似る。未成年事件に大人の責任があるとすれば、この大人の事なかれ主義とか、責任回避こそが、事件の根本原因である気がするが。(sp)

週刊誌グループ
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男性週刊誌、女性週刊誌、写真週刊誌など大手出版社編集部の契約記者として、第一線で取材執筆活動をおこなっているライター集団。政治、事件、皇室、芸能、実用、人物インタビューなど守備範囲は多岐にわたる。早稲田編集企画室の中核。