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vol.27「プロ野球の『プレミア12』って、一体何がやりたいのかな?」

 日本シリーズもメジャーのWシリーズも終わったというのに、冬に向かう今のシーズンにプロ野球は「プレミア12」を開催中。これで「再び野球の世界一を奪還する」といってるのだ。2年前のWBCでは負けたからね。

 日本はいつでもずーっと、明治の時代に正岡子規が野球をアメリカから輸入して以来「黒船チームに勝ちたい」のが夢なのだ。私の中学生時代の記憶に、巨人がオリオールズを招待(‘71年)して、あの時も「日米決戦」だったはず。記録をみれば、2勝12敗4分と惨憺たるもの。決戦に負けたのなら二度と対戦など挑まなければいいのにと思ったのだが、以来毎年のように「アメリカ倒せ」「世界一に」と。

 五輪野球はアトランタ(‘98年)の銀メダルが最高成績なのだが、「アマじゃ勝てない」とその後の大会はプロが五輪野球を乗っ取ってしまった。しかも勝てない腹いせにWBCという大会を作って、これにはどうにか優勝。この大会、最初は3年ごとの開催にしたのだが、これじゃいつかは五輪と重なってしまうために途中から4年ごとに変更と、何だか気ぜわしいものだ。それでも空白の年があるからと、今年から始めたのがこのプレミア12。とにかく何度でもいつでも毎回「打倒アメリカ」「世界一」なのだ。

 ところがショービジネスでこんな段取りの悪さは無理。今回は米国メジャー選手は全員不参加で、低レベル大会になった。だから「目標は全勝優勝」と格上げされ、「仮に世界一になっても、本物じゃないかも」なんて自虐的にもなる。しかもほとんど台湾開催だし、観客はわずか。他11チームの動向なんて無関心で、思いは「サムライ日本が勝て」。こんなものに、プロ野球のオールスター級を揃えるのが我が国なのだ。

 なんだか遠い昔に、プロレスのアントニオ猪木が、街中でジャイアント馬場とすれ違うたびに「かかって来いよ、どっちが日本一か決戦だ」と挑発しまくったが、こういうものをチンピラ行為という。アメリカの野球チームを見るにつけ「試合しろよ」と。

 主催者の意図はどこなんだろう。このオールスターの一番人気は大谷翔平(日本ハム)、二番が前田健太(広島)。打者では松田宣浩(ソフトバンク)。この上から順番に、誰もがメジャーに移籍するのだ。大谷は数年先だが、前田と松田はこのシーズンオフに。頭脳流出と嘆くわけだ。だからこういう人に、日本にいても外国チームと試合ができるのだから、メジャーに移籍しないでと懇願したいだけだ。

 日本はTPP交渉で、貿易関税撤廃して、世界と自由貿易を願っているはずなのだが、やっていることはその真逆。なんだかプロ野球も日本も、将来に明るさ見えなくてね。(sp)

週刊誌グループ
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男性週刊誌、女性週刊誌、写真週刊誌など大手出版社編集部の契約記者として、第一線で取材執筆活動をおこなっているライター集団。政治、事件、皇室、芸能、実用、人物インタビューなど守備範囲は多岐にわたる。早稲田編集企画室の中核。