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vol.3「夏の汗対策にオドロキの効果。みょうばん水を試してみた!」

 今夏も猛暑にうんざりした。あれほどの灼熱地獄は、今年はもうないと信じたいが、まだしばらくは残暑が続くに違いない。だからといって、冷房の効いた部屋に閉じこもってばかりいるわけにもいかないわけで、暑さの中で動けばどうしても汗をかく。シャツがぐっしょり濡れるほど汗をかいてしまうことも珍しくはない。こうなると気になるのが汗のにおい。特に仕事や移動で人前や人ごみに行かざるを得ない場合はなおさらだ。

 ふと目にした記事で、昔むか〜しから「みょうばん水」なるものが汗のにおいや発汗自体を抑える効果があるといわれ、使われてきたらしいことを知った。筆者は半世紀以上も生きて来たが、恥ずかしながら聞いたこともなかったので気になってググってみると、たしかに「体臭予防に効果がある」とネット上でも話題になっていて作り方もたくさん紹介されていた。

ミョウバンとは化学物質の一分類で多種多様。ここで扱う“焼ミョウバン”は通常カリミョウバンと呼ばれるものの無水物なのだとか。入手した商品にはアンモニウムミョウバンと表示されていてまたもや文系には???

ミョウバンとは化学物質の一分類で多種多様。ここで扱う“焼ミョウバン”は通常カリミョウバンと呼ばれるものの無水物なのだとか。入手した商品にはアンモニウムミョウバンと表示されていてまたもや文系には???

 こうなると試してみたくなる。材料として必要なのは、漬け物などの発色をよくする食品添加物として売られている「焼みょうばん」。たったそれだけ。近くのスーパーマーケットでさがしてみたら確かにあった。しかも90円という驚く安さ。

 さっそく製造開始。作り方はネット上にも多数紹介されているが、50グラムで1.5リットル分というのが基本らしい。つまり10グラムあたり300ミリリットル。そこで、この30グラム1袋で500ミリリットルのペットボトル2本分作ってみることにした。

商品によって形状に多少の違いはあるようだ。

商品によって形状に多少の違いはあるようだ。

 袋から出してみると見た目にはサッと溶けそうな白い顆粒状。大きめの容器に、1袋分30グラムを入れて、水道水をペットボトル2本分弱注ぐ。この段階では水の表面に焼みょうばんが浮いている。これを菜箸などでかき混ぜると今度は溶け切らない顆粒が容器の底に沈殿。

水の量は多少おおざっぱでも許される。使用時はさらにうすめることになる。

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水を加えて間もなくはツブツブが浮いているが……、

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かき混ぜると溶け切らずに底に沈んでいく。

 溶けやすさは水の温度に左右されるらしくお湯の方がより溶けやすいらしいが、水道水のカルキが残留しているほうが保存性がよいという説もあったから、あわてず騒がずしばらく放置。

 4〜5時間後に見るとほぼ顆粒は溶けたようだが、白い濁りが沈殿したようになっていた。よくかき混ぜてから、ペットボトル2本に分けて詰めた。この方がボトルごと振って混ぜることもできるからいいかなという思いつき。ときどき思い出すと瓶を振っていたらだんだん透明度がましてきた。

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4〜5時間たってもまだこの状態。

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まだ濁っている。スポーツドリンクと間違えないよう中身を明記……。

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ようやく濁りが消えて完成。

 結局、水と混ぜてから15時間くらいで透明なみょうばん水が完成。たぶん、ボトルを振ったりしなくても時間がたてば溶けて透明になる。あまり長期間の保存はできないらしく冷暗所か冷蔵庫で保存。1カ月以内に使い切るようにと書いてあったが、筆者はこの夏、冷房していない室内に置いて1カ月以上経っても腐りはしなかった。

 さて、完成したみょうばん水を10倍くらいにうすめて化粧水のように肌につける。コットンや布に含ませ肌を拭いたり、簡単なのはスプレーする方法。100円ショップの化粧用品コーナーで売っているスプレー付きの携帯容器に入れて持ち歩けば外出先でも安心。

 たとえば自転車通勤で汗びっしょりになっても、タオルで汗を拭ったあとスプレーするだけ。1回スプレーしても、まだ汗が出てくるなら、タオルで汗といっしょに拭き取り、再びスプレー。首まわり、肩から腕、脇の下、胸から腹、背中や首後ろの生え際などに多めにスプレーして自然に乾かすか軽くタオルで押さえる。さすがにシャツは着替えを別に持参して着替えるが、このあと、動けばまた汗がにじむという状態で終日過ごしても、シャツも体も汗臭くなることはなかった。汗をかく量も少ないようだ。制汗効果もあるらしく比較的肌がサラッとしている感じ。電車通勤などで普通に汗をかいた時も、タオルで汗を拭ってシュッシュッとスプレーするだけでまったく汗臭くならなかった。

 これは、みょうばんの殺菌作用が体臭の原因となる雑菌の活動を抑えるからだ。みょうばん水は弱酸性で、肌に合わない場合もあるらしいから、肌への刺激に敏感な人は目立たない部分で試し、刺激が強い場合はさらにうすめるなど自己責任での工夫が必要。筆者の場合はたまたま相性が良かったからかもしれないが、目からウロコが落ちるほどの効果が感じられ、この夏いちばん感動した出来事となった。

About 樋口琢生 (29 Articles)
東京生まれ。1989年より早稲田編集企画室ルポ班に在籍。週刊誌記者、ガイドブック編集、単行本制作などに携わる。登山、キャンプ、カヌー、自転車などアウトドア全般が趣味。