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移民都市・深圳をゆく その8「一気に路線が拡大した地下鉄」

 筆者が2005年から深圳に住み始めた頃、町中の交通手段はバスがメインだった。地下鉄の2路線が開通していたが、広い深圳の割に路線の距離が短く、地下鉄駅から目的地までの距離が離れていることも多かったため、結局は細かく停留所があるバスのほうが便利で、ほとんど毎日バスに乗っていた。日本でバスに乗ることなどほとんどなかったから、おそらく深圳最初の2か月くらいで、それまでの人生分と同じくらいの回数、バスに乗ったと思う。しかし今では8路線が開通しており、市内の遠いところまでつながっている。

地下鉄の路線が市中心部と郊外を結ぶ

 深圳に初めての地下鉄2路線が開通したのは2004年12月28日。今から12年前のことである。それから6年ほどは、ずっとその2路線のみで、終点の駅からさらに先に新たな駅が数駅でき、路線が延長された程度だった。しかし実際には、地面の下では地下鉄工事が着々と進んでいたようだ。あの頃、大通りはどこも工事中で、市内はほこりっぽかった。

 そして、それが次々に開通を始めたのは2010年の年末からのこと。というのも、深圳は翌2011年にユニバーシアード大会の開催を控えており、それまでになんとか大会開場と市の中心部を結ぶ地下鉄を開通したかったからである。そして今では8路線にまで増え、すでに10数本が開通している北京や上海とは比ぶべくもないが、2030年までには全部で16路線にする予定だという。以下は現在の地下鉄の路線図である。

深圳の地下鉄路線図(深圳地鉄のサイトより)。白い部分が深圳市内。市の面積は東京都とほぼ同じ。それを考えると路線数はかなり少ない


 初めて地下鉄が開通したのが2004年と遅かったこともあり、駅の設備は新式のものが使われ、すべてのプラットホームにホームドアが設置されている。電車に乗り込む際のマナーについてだが、筆者は通勤時間帯に地下鉄に乗ったことがないので分からないが、昼間の時間帯ではおおむね問題なく、みんなちゃんと並び、降りる人が降りてから乗り込む人がほとんどだった。

深圳大学の近くにある「深大」駅。昼間はそれほど乗客も多くない


おそらく清掃が簡単だからであろう、車内のシートはステンレス製。乗り心地悪し


 地下鉄とはいっても、郊外に出ると線路が高架式になっている路線も多い。路線のほとんどが高架式になっているのに、それを「地下鉄」と呼ぶのはどうかとも思う(上海には路線の99%が高架式の“地下鉄”があるが、それも上海の地下鉄総距離の中に含まれている)。

高架式になっている路線の駅から見えるのは、高層マンションばかり


 市中心部にある地下鉄駅のなかには、地下商店街がつながっているところがいくつかある。地下商店街にはレストランや商店などが並び、大きなところでは次の駅までつながっているところもあるほど。

市中心部の地下鉄駅に隣接した地下街。地上にはオフィスビルが立ち並んでいるため、近くで働く人たちには便利


 今のところはまだ、細かいルートが網の目のように走っているバスのほうが深圳市民の移動手段としては便利ではあるが、地下鉄の路線がさらに増えれば、特に郊外に路線が伸びていけば、郊外から市中心部への通勤も便利になる。それにより、これまでは工場しかなかった地域に住宅街が増えていくことになり、さらに都市化が進んでいくと思われる。

 深圳はものすごいスピードで変化していく。これから10年間の間に、深圳が今とはまったく違った姿になっていることは間違いない。

佐久間賢三
About 佐久間賢三 (31 Articles)
週刊誌や月刊誌の仕事をした後、中国で日本語フリーペーパーの編集者に。上海、広州、深圳、成都を転々とし、9年5か月にもおよぶ中国生活を経て帰国。早稲田企画に出戻る。以来、貧乏ヒマなしの自転車操業的ライター生活を送っている。