「記者たる者、常にアンテナを張っておけ」
もう晩秋。張り込み中、ホットコーヒーを飲みたいけど、トイレが近くなるので飲もうか飲まないか迷ってしまう季節に突入〜。
11月某日 晴れ
「記者たる者、常にアンテナを張っておけ」(先輩)
ひさびさの張り込みに意気込んで出撃したが成果は出なかった。渋谷のタワーレコードでは『BTOB』というK-POP男性アイドルグループの日本デビューシングル『WOW』が大々的に宣伝中だった。日本での韓流ブームは停滞したかに見えるが、次から次へと新人(*BTOBは韓国では12年デビュー)がデビューしてくるから逞しい。外国でデビューするだけでもたいしたもの。音楽性について評論できないけど、親韓派の僕としては彼らにも活躍してほしい。
その夜、都心の某ファストフード店のデリバリー担当男性と居酒屋で飲んだ。屋根付き原付バイクで料理を運ぶドライバーだ。
ドライバー氏によると、配達前はもちろん地図を広げて行き先の住所を確認するが、出発後は、お店から貸与されるスマホをバイクのハンドル付近に設置。ナビアプリの音声案内に従って走るそうだ。店に戻ったら、客の住所がプリントされたレシートはシュッレッダーにかけて破棄が義務づけられているという。
「記者たる者、常にアンテナを張っておけ」とは何回も聞いた先輩のアドバイス。そうだ、ネタはどこに転がっているか分からない。
「芸能人や有名人の注文ってないんですか?」
「今のところ、それはないな。そんなことより、ランチは半分以上が若い女性客で、配達が楽しいんだ」
ネタじゃなくても、それはそれでおもしろそう。
「どんなコが注文するんですか?」
「昼前に自宅から注文する客はホステス風が多い。寝起きのノーメークで、髪は乱れて寝間着姿。胸元の隙間からは胸チラも。いい匂いもするし。なにがあるというわけではないけど、むさ苦しい独身男の家へ配達するよりはやりがいがある。配達すると、まず玄関先の靴を見るね。どんな人がいるのか気になってさあ。毎回、違う男を連れ込んでるコもいて、遊んでんな〜、とか妄想するのも楽しい」
モテない男同士の会話は続く。「下着姿の美女が出てきたら、『僕のアメリカンドッグもいかがですか?』とか言ってみたい」と笑うドライバー氏。ウブな僕には聞いただけでも興奮するシチュエーション。そんなこと言えるわけないけど、言ってみたい。
「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼぼぼくぉ~〜」
先輩、僕のアンテナはバリ3(古いか)です。こんなところで許してください。