風戸裕の短すぎた生涯[5]第2章 「よし、電子顕微鏡でいこう」② 2015/01/30 顕微鏡はできた。次はこれを売っていかなければならない。早速、細菌・金属・粉体・繊維などの写真を撮影した。それを持って大学や研究所を回った。強い興味を示してくれるところもあって、風戸はエネルギッシュに動き回った。トラコー [...続きを読む]
風戸裕の短すぎた生涯[4]第2章 「よし、電子顕微鏡でいこう」① 2015/01/23 終戦数日後、「噴竜」研究プロジェクトの後片付けをした風戸は海軍技術研究所の宿舎へ故郷から軍刀を取り寄せた。日本を救えなかった責任を強く感じ、死ぬ覚悟を決めていた。本気だった。しかし、先に自決した上官が残した「敗戦を乗り [...続きを読む]
風戸裕の短すぎた生涯[3]第1章 誘導ミサイル「噴竜」③ 2015/01/09 「この非常時にそんなことをすれば鎮守府長官に申し訳がないではないか」部長会議は夜行われる。風戸は矢次の副官の立場で、本来会議が終わるまで残っていなければならないのだが、本を読み、適当な時間に家に引き上げていた。「あれだめ [...続きを読む]
風戸裕の短すぎた生涯[2]第1章 誘導ミサイル「噴竜」② 2014/12/31 風戸は最初自分がレースに反対したときの裕の顔が忘れられない。「レースは自分が初めて打ち込めるものなんです。レースには何かがある。自分を高めてくれる道なんです」続けさせてくれるよう必死で風戸に迫った。やがてその目には涙が [...続きを読む]
風戸裕の短すぎた生涯[1]第1章 誘導ミサイル「噴竜」① 2014/12/12 「息子の生きている姿はもう見られないのか…」初老の男は突然湧き起こった思いに息をつめた。寒気を感じ、男は隣に座る妻に自分の体を寄せた。身を乗り出してサーキットの一点を見つめ、胸の前で手を組み合わせていた妻の体は震えていた [...続きを読む]