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vol.2「数々のスクープを生んだ傷だらけの相棒」

 取材の現場では、取材対象に近づけないことも多い。そんなとき、小型の双眼鏡が活躍する。スポーツ競技中の選手の表情や行動をこまかく見たいときはもちろん、暗闇の張り込みで取材対象の芸能人を確認したり、離れたマンションの表札を読み取ったり……。JのアイドルO.Jが未成年のころ、巨乳グラビアアイドルYと車中デート中に喫煙している現場を確認して、所属事務所の対応を軟化させるのにひと役買ったこともあった。

 張り込み取材7つ道具のひとつとも言える「双眼鏡」、この仕事をはじめて間もないころ、必要に迫られて買ったものだ。当時5千円くらいだったと思うが、片手にかくれるほどの小型の双眼鏡だ。とおのむかしに引退したオリンパスのコンパクトカメラといっしょに買ったと記憶している。現在のリコーイメージング株式会社が製造販売しているペンタックスというカメラの有名ブランドで、購入した平成元年当時は旭光学が製造販売していた。

 仕事をしていた編集部にも、船長が首からさげるようなデッカイ双眼鏡があったけれど、重いし目立つし、大きさのわりには見づらくてしかたがないので自分で使いやすいものを選んで購入したのだ。両手でかまえると手の中におさまるコンパクトなデザイン。人通りの多い場所で車の運転席から離れた場所を見るときに、このコンパクトさがありがたい。ひたいに手をかざしているくらいにしか見えないのだから……。小型ながら倍率10×対物レンズ有効径24mm、実視界6°と高倍率でコーティングもしっかりしたガラスレンズはクリアによく見える。

 最近の小型双眼鏡は海外生産のものが多く、レンズも本体もプラスチック製がほとんどだ。廉価で軽いのはいいが長く使っていると、レンズの光軸が狂ったり、レンズが曇ったりして使い物にならなくなる。その点、これは日本製?だったはずで、筐体が金属のダイキャスト製。ガラスレンズとあいまって重いのがたまにきずだが、何度も落としたりしているのに、ほとんどくるいはきていない。さすがにレンズがだんだん汚れてきて新品当時と同じというわけにはいかなくなったが、それでも、ほかの誰の双眼鏡よりもよく見える。

「モノを大切にせよ!」という親のしつけがしみついているのか、“モノもち”がいいのが自慢だ。今では緩衝用のラバーの外装もボロボロに朽ち果ててしまったけれど、こいつのおかげでモノにしたスクープは数え切れない。
 そんなわけでどんなに見ばえが悪くなっても、まだまだ使えるうちは新しいものと買い替える気にはなれないのだ。(hi)

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男性週刊誌、女性週刊誌、写真週刊誌など大手出版社編集部の契約記者として、第一線で取材執筆活動をおこなっているライター集団。政治、事件、皇室、芸能、実用、人物インタビューなど守備範囲は多岐にわたる。早稲田編集企画室の中核。