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魔都上海を巡る その7「じゃじゃ馬の妹と優しい姉のワンセット」

 タイトルからすると何やら怪しい内容のように見えるが、前回、上海の美味いものMyベスト3の一つを挙げたので、今回も続けてもう一つをご紹介しようと思う。「湯包」と「老鴨粉絲湯」。別々の食べ物だが、筆者にとってはこれでワンセットなので「一つ」。どちらも本当は上海の食べ物ではなく南京の名物なのだが、南京は上海から近い(といっても東京―名古屋くらい)ので、上海のどこででも食べられる。

「湯包」に似たものに上海名物の「小籠包」があるが、湯包は小籠包よりも皮が薄く、日本の餃子の皮ていど。値段もずっと安い。セイロに8個入って8元(160円)ていどだ。ちなみに、南京人の知り合いに「湯包と小籠包の違いは何か?」と聞いたことがあるのだが、「うーん」と考えたあと「皮が薄いことくらいかな?」。結局、南京人も違いをよく分かっていないらしい。

 中には小籠包と同じように熱々のスープがたっぷり。これは、中に入れる餡を作る際、ひき肉に豚肉の皮で作ったゼラチンを混ぜているから。蒸籠で蒸すとこのゼラチンが溶け、それがスープになるというわけだ。

 食べる際は、箸で皮を破いてしまって中のスープをこぼしたりしないように、上の写真のように、皮が寄り集まって厚くなっている上の部分を箸で軽くはさみ、つまみ上げるようにするのがコツ。中華レストランの飲茶で出てくる小籠包を食べる時も同じようにすれば、「お、この人は通だな」と周りから思われる(かも)。

 これを、酢の入った醤油ダレにつけていただく。中にスープが入っているので一口で。出来たてを頬張ると、熱々のスープが口の中に広がって、ハフハフハフ、これがなんとも……。食べたあと、口の中の上顎の皮がベロベロになるのは確実だ。

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 中国で鴨肉はとても一般的な肉だが、南京人は特に鴨肉が大好きなようで、有名な鴨肉料理に「塩水鴨」というのもある(写真上)。こちらで肉を食べて、残った内蔵や血を「老鴨粉絲湯」の素材として余すことなく使っているのだろう。

 もう一つの「老鴨粉絲湯」は、あっさり味のスープに入った春雨のような麺と、具は鴨のモツや血を固めたもの。これで12元(240円)。本場の南京では「鴨血粉絲湯」と呼ばれているようだ。

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 食べてみると、あっさりしていて、どこか優しい味。無理やりの例えでいうなら、じゃじゃ馬の妹(湯包)に手を焼くのを楽しみつつ、落ち着いたお姉さん(老鴨粉絲湯)にも手を出して心休まるといった感じ。なので二つでワンセット。

 どちらも一日中食べられるが、筆者はいつも夜遅くに食べることが多かったからか、「夜のおやつ」というイメージだ(といっても“夜に役立つ効果”はおそらくない)。

 次回はMyベスト3の最後の一つをご紹介する。

佐久間賢三
About 佐久間賢三 (30 Articles)
週刊誌や月刊誌の仕事をした後、中国で日本語フリーペーパーの編集者に。上海、広州、深圳、成都を転々とし、9年5か月にもおよぶ中国生活を経て帰国。早稲田企画に出戻る。以来、貧乏ヒマなしの自転車操業的ライター生活を送っている。