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魔都上海を巡る その8「上海美味いモノMyベスト3の最後を飾るのは?」

「光明邨大酒家」。建物の左側が惣菜の窓口で、鮮肉月餅は右側の出入口付近で売っている。こちらも時間によっては大行列となることがあるらしい。

 新年快楽!(新年おめでとう!)大晦日・元旦に年末年始の雰囲気などほとんどない中国。公式カレンダーだと12月31日まで仕事。正月三が日は三連休だが、ホントに単なる三連休。しかも、4日(日)から出勤日となっている。というのも1月1日は祝日だが、2日(金)は平日。なのでこの日を休みにして1〜3日を3連休とする代わりに、4日(日)を出勤日にするという荒技を使っているから。これは全国共通だ。

 中国の新年は旧正月、いわゆる春節である。こちらは1週間の大型連休だ。2015年の春節は2月19日が初日。ここ十何年の間では一番遅い。

 前置きが長くなったので本題に入るとしよう。前回の予告どおり、上海で美味いモノMyベスト3の最後の一つのご紹介だ。

 その名も「鮮肉月餅」。単に「月餅」というと中秋節の頃に食べる円形の甘い饅頭のことだが、「鮮肉月餅」はひき肉をサクサクの皮に包んだもの。
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 写真を見ると分かるとおり、月餅というよりミートパイに近い。

 地元の人たちに人気の店はいくつかあるのだが、今回は、上海では南京東路に次ぐ目抜き通りである淮海中路の「光明邨大酒家」に行ってみた。

「酒家」というと一般的にはレストランのことだが、この店は1階が上海の惣菜を売る店となっていて、地元の人たちがいつも行列をなして並んでいる。
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 1個4元(80円)。筆者はおやつとして2個だけ買ったのだが、それを食べながら見ていると、みんな10個入りの箱単位で買っていく。家族や友人へのお土産に持っていくのだろう。

 建物の脇では、鮮肉月餅を作っているところがガラス越しに見える。肉の餡を皮で包んだ饅頭を平底の鉄板に並べ、木の蓋をして蒸し焼きにする。饅頭の上には「月」らしき字が見える。「月餅」を意味しているのかもしれない。

 しばらくすると、蓋を開けてヘラでひっくり返していく。焼けた部分がしっかりとキツネ色になっているのが分かる。

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 で、お味のほうはといえば、薄味の肉まんをパイにした感じ。皮がサクサクしていて、ポロポロと落ちてくるので、部屋の中で食べる際には注意が必要だ。この皮のサクサク感と肉餡のジューシーさがたまらなく美味い。

 というわけで、上海の美味いモノMyベスト3「生煎」「湯包と老鴨粉絲湯」「鮮肉月餅」は、老鴨粉絲湯を除き、奇しくもすべて肉餡を皮で包んだものとなった。上海に来る機会があったら、ぜひお試しいただきたい。

 さて次回は、ネタをまだ決めていないのだが、おそらくは租界時代の住宅である「石庫門」を取り上げることになると思う。

About 佐久間賢三 (40 Articles)
週刊誌や月刊誌の仕事をした後、中国で日本語フリーペーパーの編集者に。上海、広州、深圳、成都を転々とし、9年5か月にもおよぶ中国生活を経て帰国。早稲田企画に出戻る。以来、貧乏ヒマなしの自転車操業的ライター生活を送っている。