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魔都上海を巡る その11「日本経済にも大きな影響を与える春節」

 今ではすっかり「春節」という名称が定着した「旧正月」。旧暦ではまだ新年になっていないので、今年といっていいのか来年というべきなのかよく分からないが、2015年の春節は2月19日(木)が初日。あと1週間ちょっとだ。春節は旧暦の1月1日なので太陽暦とはズレていて、だいたい1月下旬から2月半ばに新年を迎える。2月19日が新年初日というのは、ここ十数年ではもっとも遅い。

 中国の今年の公式カレンダーでは、2月18日(水)の除夕(大晦日)から24日(火)までの1週間がお休みとなっているのだが、労働日数の調整のため、休み前後の15日(日)と28日(土)が出勤日となっている。

 どういう計算かというと、18日(水)から20日(金)の3日間が正式な祝日で、21日(土)と22日(日)は週末で休み。23日(月)と24日(火)は平日なので、そこを休みにするぶん、15日と28日を出勤日としてつじつまを合わせるというわけだ。

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 こんな小ネタはさておき――。

 中国で最大の祝日である春節を迎えるため、住民たちはその準備に忙しい。その一つが、春節のあいだに食べる食料や装飾品の買い出しだ。

 春節が近づいてくると、上海では商店街の歩道に巨大な魚の開きや鴨、ガチョウの姿干しが並ぶようになる。市民の台所である生鮮食品市場でも、魚売り場では天井から大きな魚の干物がぶら下がっている。ガチョウが腹を割かれて口からぶら下げられている光景など、見慣れない日本人にはちょっとショッキングだ。

 また、当コラムの「その8」で鮮肉月餅をご紹介する際に出てきたレストランにある惣菜売り場(写真下)ようなところでも、地元の買い物客が行列をなして食材を仕入れている。

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 食料以外にも、春節を迎えるためには家の飾り付けが必要だ。どこに売っているかは、街を歩いていればすぐ分かる。とにかく店内に真っ赤なものばかりが並んでいるところがそうだ。

 店内にはいろいろな飾り物が揃っているが、そのなかでも特に重要なのが、玄関の周りに貼り付ける「対聯」(写真上)と、「福」の字のシールだ。

「対聯」は3枚1組となっていて、縦書きの長い2枚を玄関の両脇、横書きの短い1枚を上に貼り付ける。それぞれの紙にはお目出度い言葉が書かれている。

 一方の「福」の字のシールはドアの表面に。しかも、上下逆さまに貼ることが多い。これは、中国語でひっくり返っている状態を示す「倒」と、やって来るを意味する「到」の読み方が同じことから、福の字を逆さまに貼ることにより「福がやって来るように」という願いを込めているのだ。

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 そして最後の買い出し先が、花市(上の写真2枚は深圳のもの)。春節の数週間前になると、中国各地で一部の道路や広場を封鎖して花市が開かれる。市民たちはここに家族連れで出かけ、春節の間に家に飾り付ける花を買うのだ。

 このように準備を整えていくうちに春節気分が盛り上がっていくため、中国では春節の1週間くらい前から企業の仕事が滞り始める。みんなすでに気分が春節モードに突入しており、早めに休暇を取り始める人も多いからだ。

 そしてこの春節の大型連休は日本経済にも大きな影響を与える。

 数年前までは反日感情などで中国人観光客は大幅に減少していたが、今では反日感情も薄れ、それに加えて円安により日本の物価がかなり安く感じられるようになった。

 そのため、今年の春節には中国人観光客が大挙して日本を訪れ、買い物やグルメなどでたくさんのお金を落としていってくれることが期待されている。

 さて次回は、上海近郊にある水郷のなかでも一番有名な観光地である朱家角をご紹介する。

佐久間賢三
About 佐久間賢三 (37 Articles)
週刊誌や月刊誌の仕事をした後、中国で日本語フリーペーパーの編集者に。上海、広州、深圳、成都を転々とし、9年5か月にもおよぶ中国生活を経て帰国。早稲田企画に出戻る。以来、貧乏ヒマなしの自転車操業的ライター生活を送っている。